賃金に関するトラブル事例

[事例]退職した従業員から未払い残業代を請求された

〈内容〉
ある日、M社[サービス業](設立後10年経過)のG社長宛てに内容証明郵便が送られてきました。
送り主は、1ヶ月前まで勤務していたSさんからでした。

G社長が中を読んでみると、そこには以下のようなことが書かれていました。

「在職中に毎日残業を行っていたにも関わらず、手当が適正に支払われていません。
タイムカードに打刻した時間に従って、退職日前2年に遡って残業手当の支給をお願いします。」

M社ではG社長の方針で時間外手当の支給は行っておらず、暗黙の了解でいわゆるサービス残業に なっていたのです。
タイムカードを計算してみると、金額は150万円以上。G社長はパニックになってしまいました。

M社は設立後10年経ちますがこれまで、このようなトラブルはありませんでしたので、
慌てて創業当初に作成した就業規則を見直しました。
M社の就業規則はG社長が創業時に、インターネットからダウンロードしたもので、
いわゆる雛型の就業規則でした。
従ってそこには、詳しい時間外手当の支給方法についても規程がありませんでした。

自分ではもうどうしようもないと判断したG社長は、知人経由である社労士を紹介してもらい 相談してみましたが、労働時間管理のずさんさや就業規則の内容、サービス残業の実態から 見てみて厳しいと言われてしまったのです。

※結局全額支払いは免れたものの、80万円近い金額を支払うことで和解
※労基署より是正指導があり、従業員への時間外手当も遡って支払うことに

サービス残業の問題は非常に多いですが、この問題に関しては今後行政側の指導もより一層厳しくなることが 予想されますので、注意が必要です。
本事例では、根本的な姿勢が問われるところでもありますが、社長自身が就業規則の内容を把握していないと 大きなトラブルが起きるリスクがあります。

今回の事例から就業規則を見直す場合、ポイントとしては、

・残業を行った分だけ支給するのではなく、事前に上長から許可をもらいその分に関してのみ支給する。
・上長への確認がとれない場合は、後日速やかに業務報告書を得て事後承認を得る。
・時間外手当の支給に関しては(上記のような)適正な手続きを経ない場合は支給しない。

以上のような規程を就業規則等で明文化しておくことが大切です。

近年では、インターネットの発達で就業規則の雛型は簡単に手に入ります。。
しかし、皆さんの会社と他の会社が異なるように、皆さんの会社の就業規則と他の会社の就業規則は
異なっているのです。
ですから、雛型やサンプルで済ませてしまってはいけないのです。

さらに付け加えるならば、一度作成した就業規則であっても企業の成長とともに変化させていく必要があります。
一度作成したらよいというものではありませんので、定期的に見直す習慣をつけてください。

就業規則をまだ作成されていない、または就業規則作成後、まったく変更や見直しを行われている
社長様は、ぜひこの機会にご相談ください。

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[参考条文]

時間外労働を行った場合、通常の労働時間(休日労働の場合は、労働日)の賃金の2割5分以上5割以下の範囲内で政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない(労基法第37条第1項)。

政令において率の最低限度として、時間外労働は2割5分、休日労働は3割5分と定める(労基法第37条第1項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令)。

また、使用者が午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域または期間については午後11時から午前6時まで)の間に労働させた場合においては、通常の労働時間における賃金の計算額の2割5分以上(時間外労働が深夜に及ぶ場合は5割以上、休日労働が深夜に及ぶ場合は6割以上)の率で計算した割増賃金を支払わなければならない(労基法第37条第3項、施行規則第20条)。
なお、休日労働とされる日に時間外労働という考えはなく、何時間労働しても休日労働の範疇である。

割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金(1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金)は算入しない(労働基準法第37条第4項)。

平成22年4月改正労働基準法においては、時間外労働が月間60時間超となった場合、上の率は5割となる。なお中小企業への適用は3年猶予される。

中小企業に起こる労使間のトラブル事例

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