労災の記事一覧

過労で1億8千万賠償、未払い残業代も支払い命令

長時間残業の過労で倒れ、寝たきりになったとして、ファミリーレストランの支配人だった鹿児島県鹿屋市の松元洋人さん(35)と両親が、店を経営する「康正産業」(鹿児島市)に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、鹿児島地裁は16日、約1億8700万円の賠償と未払い残業代約730万円の支払いを命じた。

 判決理由で山之内紀行裁判長は、松元さんの職務内容や待遇などを検討して「会社の主張する管理職には当たらない」と判断した上で、松元さんが自宅で倒れる前の6カ月の時間外労働が月平均約200時間だったと認定。「残業代を支払わずに時間外労働をさせ、過酷な労働環境を見て見ぬふりで放置した。安全配慮義務違反は明らかだ」と会社の責任を指摘した。

 過労死弁護団全国連絡会議によると、過重労働に起因する労災をめぐる訴訟の判決で認められた賠償額としては過去2番目の高さとみられる。

 判決によると、松元さんは「ふぁみり庵まどか亭札元店」の支配人だった2004年11月10日、就寝中に心室細動を発症、低酸素脳症で寝たきりになった。今も意識不明の状態が続き、両親が自宅で24時間態勢の介護をしている。06年1月に労災認定を受けた。

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勤務中脳出血、後遺症の元行員 労災不認定取り消し命令

過重な業務で勤務中に脳出血し、後遺症が残ったにもかかわらず、労災と認められないのは不当として、和歌山銀行(現・紀陽銀行)の元男性行員(47)が国を相手取り、労災不認定処分の取り消しを求めた訴訟の判決が12日、地裁であった。大西嘉彦裁判長は「業務と疾病とに因果関係がある」として、国に処分の取り消しを命じた。

 判決などによると、男性は1998年7月、同行岩出支店で勤務中にろれつが回らなくなるなどし、病院で脳出血と診断され、左半身にまひが残った。「業務に起因する明らかな疾病」として、2003年12月に橋本労働基準監督署に労災申請したが、却下された。

 国は「発症前の半年間は特に過重な業務はなく、飲酒の機会も多く、不摂生が影響を与えた」などと主張していたが、大西裁判長は、男性の元同僚の証言などから発症前、半年間の時間外労働を52~105時間と算定、月平均が80時間を超えているとし、「長期間の過重業務に就労したため、負荷が加わり、疾病が発症した」と判断した。

 同労基署は「判決文をよく見て検討した上で、関係機関と協議し、判断したい」とコメントした。

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じん肺男性死亡は「労災」/遺族年金不支給取り消し

じん肺と診断され死亡した甲府市の石材加工業の男性に労災が適用されなかったのは不当と、家族が国に、労災保険法に基づく遺族補償年金の支給を求めた訴訟で、甲府地裁(太田武聖裁判長)は10日、請求を認め、不支給処分を取り消す判決を言い渡した。

太田裁判長は判決理由で「死亡とじん肺の間には因果関係が認められ、業務起因性がある」と述べた。

判決によると、男性は切断した石を磨くなどの仕事をしていたが、じん肺と診断され、2001年に肺炎で死亡。

家族は「じん肺や呼吸機能障害などの複合的要因が死につながった」として、年金や葬祭料の支払いを求めたが、甲府労働基準監督署は03年、因果関係や業務起因性がないとして、不支給とした。

(共同通信)

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