就業規則のトラブル事例~無断欠勤の労働者を解雇できるか?
〈事例内容〉
C社(商社)の社員Hさんが無断欠勤をするようになって2日目。
さすがに上司のD社長は我慢できなくなりました。
自宅や携帯電話にかけても全く連絡がとれません。
Hさんは、ここ最近営業成績が思わしくなく、D社長からはいつも
皆の前で叱られていました。
特に無断欠勤の前日は、夜中近くまでD社長から叱られ続けて
いたのです。
D社長は営業成績もよくないくせに、さらに無断欠勤までするとは、
けしからん!と怒りが治まりません。
そこで、D社長は明日、もし何らかの連絡がない場合は、
解雇しようと決意したのです。
そして翌日。
やはりHさんからは連絡がありませんでした。
そこでD社長は予定通りに、Hさん宅に解雇を通知する内容証明
郵便を送りました。
ところが、これでようやく落ち着いたと思っていたところに
Hさんの代理人から会社に対し、解雇は不当との内容証明郵便が
届いたのです。
これに対しD社長は、連絡もよこさないくせに解雇不当とは
どういうことだ!
と全面対決の姿勢をみせたのです。
[結果]
労働契約を締結している以上、正当な理由なく労働提供義務
を尽くさないのは債務不履行になる。
しかしながら、就業規則の解雇事由にあるからとの理由で、
3日程度の無断欠勤でいきなり解雇とする処分の正当性は
認められない。
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[解説]
就業規則の解雇事由にあるからとの理由だけで、
今回の様な3日程度の無断欠勤でいきなり解雇することは
認められないケースがあるという事例です。
本事例でHさんは、無断欠勤の原因がD社長の叱責にあると
主張しました。いわゆるパワハラです。
ですからもしD社長の叱責が原因で、Hさんの状況がうつ病や
対人恐怖症など深刻な状況に陥っていれば、D社長に対する
損害賠償請求の問題へと発展する危険性もでてきます。
では、会社としてはどのような対応が望ましいのでしょうか?
まず最も重要なことは、感情に流されないということです。
本事例では、D社長の怒りっぽい性格が推察できます。
解雇を前提に考えれば、案件にもよりますが2週間~1ヶ月程度の
期間をみるべきです。
また、全く連絡がとれない場合は公示送達という方法もあります。
これは、裁判所経由で行うもので掲示板への掲示や官報などでの
公告により行うものです。
この場合は、公告後2週間を経過すると、相手に意思表示が到達
したとみなされます。
いづれにしても、絶対に焦ってはいけません。
冷静な対応を心がけて下さい。
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じん肺男性死亡は「労災」/遺族年金不支給取り消し
じん肺と診断され死亡した甲府市の石材加工業の男性に労災が適用されなかったのは不当と、家族が国に、労災保険法に基づく遺族補償年金の支給を求めた訴訟で、甲府地裁(太田武聖裁判長)は10日、請求を認め、不支給処分を取り消す判決を言い渡した。
太田裁判長は判決理由で「死亡とじん肺の間には因果関係が認められ、業務起因性がある」と述べた。
判決によると、男性は切断した石を磨くなどの仕事をしていたが、じん肺と診断され、2001年に肺炎で死亡。
家族は「じん肺や呼吸機能障害などの複合的要因が死につながった」として、年金や葬祭料の支払いを求めたが、甲府労働基準監督署は03年、因果関係や業務起因性がないとして、不支給とした。
(共同通信)
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